OMIOの投書箱2

年末年始の雑記帳です。

夕刊 メディアの森 西垣通

●電車でかける携帯電話 温かい雰囲気ぶち壊し
・しかし、よく考えてみると何か妙ではないだろうか?団体客の隣なら、その騒がしさは携帯電話と比べものにならない。幼児が泣いたりぐずったりし始めたら、周囲はもう忍の一字である。
・つまり、車内での携帯電話使用は遠慮せよという「マナー」は、騒音防止という意味ではそれほど根拠があるとは思えないのである。
・考えてみると、同じ客車に乗り合わせるというのは一種の因縁である。「袖振り合うも多生の縁」とか「旅は道連れ、世は情け」という言葉もあって……つまり客車内では、乗客同士は一時的にせよ「他人」ではなくなるのである。
・そういう「客車の中のコミュニティー」への郷愁は、私たちの心のどこかにまだ残っている……携帯電話は、残酷にも、そういう郷愁を打ち砕くのだ。
・たいして騒がしくもない携帯電話の使用が車内で嫌われる理由は、実は共同性をめぐる文化の問題なのである。